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img 幹細胞療法とは img

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img 間葉系幹細胞の可能性 img

間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells, MSCs)は、多くの治療可能性を持つことから再生医療の分野で注目されています。MSCsは骨、軟骨、脂肪などのさまざまな細胞に分化する能力があり、長期間にわたり自己複製することができます。また、免疫系に作用して免疫応答を調節する能力があり、他の細胞に比べて免疫反応を引き起こしにくいという特性も持っています。これらの特性により、MSCsは骨折や関節炎、軟骨損傷の治療、心筋梗塞後の心筋修復や血管再生、パーキンソン病や脊髄損傷などの神経系の再生医療、自己免疫疾患や炎症性疾患の治療、慢性創傷や難治性の傷の治療など、さまざまな疾患の治療に利用されています。しかし、臨床試験の結果にはばらつきがあり、一貫した効果を得るための標準化が必要であることや、MSCsの供給源ごとに特性が異なるため、適切な供給源の選定が重要であること、長期間の使用における安全性の確立が求められるなどの課題も存在します。間葉系幹細胞は、その多様な治療可能性から再生医療の分野で大きな期待が寄せられており、今後の研究により、さらに多くの疾患に対する治療法が確立されることが期待されています。

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ロート製薬の研究開発部門の支援

先端的な幹細胞培養技術

強靭な幹細胞研究ネットワーク

製造過程における高い安全性及び信頼性

持続可能な医療ソリューション

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img 治療までの流れ img
01
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事前説明および同意

STEP 01

幹細胞治療を実施する前に、患者には事前説明と同意のプロセスが必要です。このプロセスは、患者が治療の目的や方法、リスクと利益を十分に理解し、インフォームドコンセント(説明に基づく同意)を得るために不可欠です。

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02
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事前検査

STEP 02

幹細胞治療を行う前には、患者の健康状態を評価し、治療が安全かつ効果的に実施できるようにするための事前検査が必要です。これらの検査により、治療に適した候補者であるかどうかを判断します。

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03
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脂肪採取

STEP 03

脂肪組織からの間葉系幹細胞の採取は、再生医療において多くの治療可能性を提供します。手術は比較的安全ですが、適切な事前準備と注意が必要です。

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04
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幹細胞培養・加工

STEP 04

幹細胞は培養器具内で約6週間程度、適切な培地と環境下で培養されます。この期間中、細胞の増殖や品質管理が行われます。培養された幹細胞は、培養終了後に約2週間かけて品質試験が実施されます。

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05
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幹細胞の投与

STEP 05

幹細胞の処理から治療までの期間は、脂肪採取日から約8週間程度を要します。この期間には、採取、抽出、培養、品質試験などが含まれます。

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06
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フォローアップ検診

STEP 06

幹細胞治療後のフォローアップ検診は、治療の効果や患者の健康状態を確認し、治療の成功を評価するために重要です。患者の個々のニーズや治療経過に応じて、適切な検査やフォローアップスケジュールが設定されます。

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img 細胞培養とは img

特に安全性の確保や規制が厳格な法律や制度が存在します。日本では、そのような分野に関しては、「再生医療等の安全性確保等に関する法律」や「特定細胞加工物製造事業者」という制度があります。再生医療等の安全性を確保し、適正な利用を促進することを目的としています。再生医療等の行為について、安全性や有効性を確保するための基準や規制が明確にされています。再生医療等の安全性確保等に関する法律に基づき、特定の幹細胞や組織を加工し、製品として提供する事業者は、特定細胞加工物製造事業者として認定される必要があります。これには、施設や設備の基準、品質管理システムの構築、適切な製造プロセスの遵守など。

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img 細胞の安全性=無血清培地での培養 img

無血清培地(serum-free medium)は、細胞培養において動物由来の血清を含まない培地のことを指します。従来の培地には、胎児牛血清や他の動物由来の血清が含まれており、これらの血清は栄養素や成長因子を提供し、細胞の増殖や生存を促進するのに役立っていました。

img 無血清培地で培養するメリット

無血清培地は、動物由来の成分を含まないため、異物反応や感染症のリスクが低減されます。これにより、細胞培養の安全性が向上します。
無血清培地は、ロット間のばらつきが少なく、培養条件の再現性が高いです。これにより、実験の信頼性が向上し、結果の再現性が確保されます。
無血清培地の使用は、動物由来の成分を使用しないため、倫理的な問題を回避します。
無血清培地は、動物由来の成分に関連する規制要件を回避するため、規制要件への適合性を高めます。

無血清培地は、再生医療や細胞治療、薬物開発などの分野で広く使用されており、細胞培養の安全性と信頼性を向上させるための重要な技術となっています。

img 幹細胞治療 img

自己脂肪由来間葉系幹細胞治療は、動脈硬化症の進展を抑制し、血管の健康を改善するための治療法です。この治療では、患者自身から脂肪組織が採取され、その中から幹細胞が分離・増殖されます。その後、増殖された幹細胞が患者の血管に注入され、血管の修復と再生を促進します。この治療法は、血管の狭窄や再狭窄を予防するとともに、炎症を抑制する効果も期待されます。また、自己由来の幹細胞を使用するため、免疫反応や拒絶反応のリスクが低減されます。しかし、臨床試験や研究の進展が必要であり、治療法の適応や効果に関するより詳細な情報が求められます。

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提供する再生医療等 動脈硬化症の進展予防を目的とした自己脂肪由来間葉系幹細胞治療
再生医療等の分類 第二種
再生医療等提供計画の計画番号 PB3240057
再生医療を受ける者の基準 以下の選択基準を全て満たす患者を治療対象とする。
① 成人で判断能力が有り、この治療について十分説明を受け、その内容を理解し、同意した方
② 動脈硬化症に関する標準治療法で満足のいく効果が認められなかった方、または副作用等の懸念により、標準治療で用いられる薬物等による治療を希望しない方
③ ABI検査でABI ≦ 0.9又は1.41≦ ABIの方、またはPWV検査で1800㎝/s以上の方、またはCAVI検査で結果は9.0以上あるいは実年齢よりも動脈硬化が5歳程度進行している方、または超音波検査にて、腹部大動脈、頸動脈、腎動脈や下肢動脈などの動脈病変が認められる方、あるいは非造影MDCT検査や造影CT検査、MRIやMRA検査、カテーテル検査で動脈硬化症が疑われる方
除外基準:
・以下の基準のいずれかに該当する患者は治療対象から除外する。
・重篤な疾患(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病および高血圧症など)を有する者
・HBV、HCV、HIV、HT LV-1及び梅毒に罹患している者(ただし同意が得られた場合、医師の判断により可能とする場合もある)
・治療に使用する薬剤(局所麻酔用キシロカイン等)に過敏症の者
・製造工程において使用するβラクタム系抗生物質およびアミノグリコシド系抗生物質に対して薬物過敏症の既往歴のある患者及び重篤なアレルギー素因のある者
・その他担当医が不適切と判断した者
治療期間 事前説明および同意後、脂肪採取から幹細胞投与まで:約8週間程度
※幹細胞投与後、フォローアップ検診(細胞投与後1・3・6・12ヶ月)
細胞投与時の所要時間 40分~60分
治療等のリスク・副作用 脂肪採取の際:
創部からの出血、脂肪採取部の皮下出血、創部の痛み・感染・浸出液、麻酔薬の副作用(吐き気・嘔吐・冷や汗・動悸など)
幹細胞投与の際:
アナフィラキシー反応、ショック、肺塞栓、呼吸困難、血圧低下、血圧上昇、頭痛、冷汗、嘔気、嘔吐、腹痛、神経障害、手先・足先の痺れ、穿刺部痛、穿刺部内出血、紅斑、発疹、掻痒感、浮腫、肝機能障害、倦怠感、熱感など

img Q & A img

A: 幹細胞は、多様な種類の細胞に分化する能力を持つ細胞の一種です。これらの細胞は特定の器官や組織の細胞として機能することができますが、同時に自己複製する能力も持っています。つまり、幹細胞は自身を複製し、さらに特定の成熟した細胞へと変化することができます。
幹細胞は、胚性幹細胞と成体幹細胞の2つの主要なタイプに分類されます。胚性幹細胞は胚の初期段階から取り出され、あらゆる種類の細胞に発展する可能性があります。一方、成体幹細胞は、成人の体内に存在し、特定の組織や器官の再生や修復に関与します。
これらの特性により、幹細胞は医学や生物学の分野で非常に注目されています。例えば、幹細胞治療は、慢性疾患や怪我の治療に新しいアプローチを提供する可能性があります。また、幹細胞研究は細胞および発生生物学の理解を深め、新たな治療法や医療技術の開発につながる可能性があります。

A: 幹細胞治療は、患者の身体に幹細胞を導入し、疾患や損傷した組織の修復や再生を促す治療法のことです。この治療法では、幹細胞が患者の体内で特定の組織や細胞に分化し、その組織や細胞の機能を取り戻すのを助けることが期待されています。
幹細胞治療は、様々な疾患や損傷の治療に応用されています。例えば、心臓病や関節炎などの慢性疾患、脳卒中や脊髄損傷などの神経系障害、または外傷や火傷などの急性損傷の治療に用いられます。
幹細胞治療は、さまざまな方法で行われます。例えば、患者自身の体内から幹細胞を取り出し、それらを損傷した部位に注入する方法や、他の個人や幹細胞バンクから提供された幹細胞を使用する方法があります。
幹細胞治療の研究や臨床試験は、新しい治療法や医療技術の開発に向けて進行中です。ただし、幹細胞治療にはまだ多くの課題やリスクがあり、効果や安全性に関する詳細な研究が必要です。

A: 1.診断と評価: 患者が特定の疾患や損傷で治療を必要とする場合、まず医師が診断を行い、患者の状態を評価します。これには、身体検査、画像診断、血液検査などが含まれる場合があります。
2.治療計画の立案: 医師や専門家チームが、患者の状態と治療の適切なオプションに基づいて治療計画を立案します。この段階では、幹細胞治療が適切な選択肢であるかどうかが決定されます。
3.幹細胞の収集: 幹細胞治療に使用する幹細胞が収集されます。これには、患者自身からの自家移植や、ドナーからの移植、幹細胞バンクからの提供などが含まれる場合があります。
4.処理と増殖: 収集された幹細胞が必要な数になるまで、適切な処理や増殖が行われます。これにより、治療に必要な量の幹細胞が確保されます。
5.移植: 処理された幹細胞が患者の体内に移植されます。移植方法は、注射、手術、組織培養などによって行われる場合があります。
6.フォローアップと経過観察: 患者は通常、治療後の経過観察のために定期的に医師の診察を受けます。これにより、治療の効果や安全性が監視され、必要に応じて治療計画が調整されます。
7.結果の評価: 治療の結果が評価され、患者の症状や機能に対する治療効果が確認されます。この段階では、追加の治療やケアが必要とされる場合があります。